写真家・伊島薫により「日本人のかっこよさを伝える」ことを目的とし、1994年に創刊された”ジャップ”。
カタカナ、ローマ字表記を使用したり、実験的なテーマへの挑戦など、新しい切り口で話題になった異色のファッション雑誌です。なかでも小泉今日子、篠原涼子、永瀬正敏などを起用した死体にハイブランドを着させるという「死体のある風景」シリーズは、国内外でも高い評価を受けています。
実験的精神という言葉を聞かなくなった今、この雑誌から学ぶことも多いのではないでしょうか。
WOLFGANG TILLMANS(1995)
ドイツ出身の写真家”ヴォルフガング・ティルマンス”。80年代末より自分の友人たちやクラブピープルたちと自分とをテーマに写真を撮り始め、92年にロンドンへ移住後は『i-D』『THE FACE』などのカルチャー誌で活躍。2000年にはイギリスで最も権威ある現代アート賞、ターナー賞を受賞。現在も風景や静物、ヌード、抽象的プリントワークなど多様な形態で作品を発表し続け、多くのアーティストへも影響を与えています。
以前雑誌のインタビューで「僕が写したいのはスタイルやファッションではなく、ライフなんだ。」という記事を読みましたが、今回ご紹介するのは、リアルな90年代の空気感が伝わってくる作品集です!ご来店の際は、是非ゆっくりご覧ください。
Patrick Demarchelier: Photographs(1995)
ANOUCHKA LIBRARY今月のおすすめの1冊は、ファッションフォトグラファー、パトリック・デマルシェリエの作品集。
パトリック・デマルシェリエは1943年フランスに生まれ、1980年代にはVOGUEなどの雑誌、コマーシャルの分野で活躍。1992年ハーパース・バザー誌と専属契約し、クリエイティブ・ ディレクターのファビアン・バロンと作るファッションイメージは、その後のファッションページに大きな影響を与えました。セレブリティのポートレート写真も多く手掛け、この作品集でも見ることができます。
鋭いコマーシャル・センスとアート・テイストとの微妙なバランスを感じさせる写真が特徴的なパトリック・デマルシェリエ。僕の大好きな写真家でもあります。
裸の女性がベッドに横たわっている写真は、光と影のやわらかいコントラストが印象的で美しく、ヘアーがきれいにとかれていることで、写真をより幻想的に見せていると思います。
ANOUCHKA Library 6月のお薦めはこの3冊です。
Library Archivesはこちらからご覧になれます。http://anouchka.jp/journal_category/library/
Andy Warhol A Factory
アンディ・ウォーホールが1950年代に商業デザイナーとして手がけた最初期の作品から60年代以降ファクトリーに集う人々と共同で手がけた作品の数々を収録したBOOK。
厚さ6cmの中にウォーホルの多岐にわたる活動がぎっしり詰まった1冊です!
ご来店の際には、ゆっくりご覧ください。
ELYSIAN FIELDS
Purpleのエレン・フライスとオリヴィエ・ザームがキュレーションしたポンピドゥーセンターで開催された展覧会の作品集。
マーク・ボスウィック、高橋恭司、ホンマタカシ、佐内正史、スーザン・チャンチオロ、、リタ・アッカーマンなどによる多数のアートワークが収録されていて、肩の力を抜いて楽しめる1冊です。
付属のCDは、アヌーシュカのBGMとしても流れていますので、そちらも楽しんでください。
ROBERT FRANK “THE LINES OF MY HAND”
5月のアヌーシュカ・ライブラリー2冊目はロバート・フランク”THE LINES OF MY HAND”(私の手の詩)です。
1958年に出版された代表作「Les Americains」に続く2作目の写真集。当時のロバート・フランクが自分の人生を振り返り、重ね合わせた自伝的写真集で別れた妻、亡くなってしまった息子と娘などプライベートな被写体も登場します。
どの写真も詩的で、すごく感覚を刺激される写真ばかりです!
KUTT
シンプルな黒のタイポグラフィーとクロエ・セヴィニーのモノトーンのファッションが際立つ表紙。
この雑誌は、2002年に刊行され(おそらくオランダで)数号続いたのち廃刊となってしまったZINE形式のカルトマガジン”KUTT”。
さらっとしたデザイン、センスの感じられる写真や紙の質感が、ちょっとディープな内容と合わさってページをめくるたびにドキドキさせられます。
Hedi Slimane / intermission 1
ロサンゼルス、ベルリン、コペンハーゲン、東京などのホテルのカーテンがプリントされた、ラミネート加工の紙面がストイックに連なるミニマルな写真集。独自の世界観に溢れた1冊!